【鼎談】ブランドの成長に必要なことは?ラマルク×エルザ・ウィンクラー×ミーンズワイル

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森下慎介、中井英一朗、藤崎尚大 Photo by: FASHIONSNAP

 「カラー(kolor)」の阿部潤一や「サポート サーフェス(support surface)」の研壁宣男、「ネ・ネット(Né-net)」の髙島一精など数多くの著名デザイナーを輩出してきた「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」。2011年からプロ部門が設立され、受賞者にはビジネス支援として合同展・個展・ショールームへの出展(海外含む)やショー・インスタレーションの開催、ブランド・商品の広報などの支援が行われている。では実際に若手デザイナーたちに与える支援の効果は?プロ部門を受賞した「ラマルク(LAMARCK)」の森下慎介、「エルザ・ウィンクラー(ELZA WINKLER)」の中井英一朗、「ミーンズワイル(meanswhile)」の藤崎尚大らが語るブランドが成長するために必要なこと。

LAMARCK(ラマルク)・・・文化服装学院、文化ファッション大学院大学(BFGU)出身の森下慎介が2011年に立ち上げたウィメンズブランド。ブランドコンセプトは「前進的進化」で、博物学者ジャン=バティスト・ラマルクが提唱する「前進的進化」をキーワードに、絶えず変化し続ける時代や事象と共に、新しい自分を発見できる衣服の提案を目的とする。

ELZA WINKLER(エルザ・ウィンクラー)・・・「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」を退社後、「アトウ(ato)」でチーフパタンナーを務め、アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)でシニアパターンカッターとして活躍した中井英一朗が、須谷真央と2014年に立ち上げたウィメンズブランド。ブランドコンセプトは「Classic and Creative」で、現在は著名人などの衣装も手掛ける。

meanswhile(ミーンズワイル)・・・2014年にデビューしたメンズブランド。「日常着である以上、服は衣装ではなく道具である」をコンセプトに、ファッションの持つ表面的で無稽な部分に道具としての機能を持たせたプロダクトを展開。

-皆さん若くしてブランドを立ち上げています

LAMARCK 森下慎介(以下 森下):僕はBFGUを卒業してすぐにブランドを立ち上げたので、それこそ企業で働いたこともありませんし、本当に右も左もわからない状態だったんです。ただ当時僕が入ったときには天津さん(「ハナエモリマニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)」デザイナーの天津憂)などブランドを先に始められていた方たちにアドバイスをもらったり、生地屋さんを紹介してもらったりしていました。先輩たちの助けもありながら始められたっていうところは良かったところかなと思います。

ELZA WINKLER 中井英一朗(以下 中井):僕の場合は生産背景作りに大変苦労しました。「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」、「アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)」で働いていた頃はやりたいことがやれる環境が整っていましたが、立ち上げ当初は作りたいものを形にする生地や加工技術を一から探さないといけませんでした。あとはバジェットを気にしながら服作りをしなければいけないことも苦労したところですかね。

meanswhile 藤崎尚大(以下 藤崎):デビュー当初はお金が無くなるものだということを想定して、先に2シーズン分作ってから始めました。それは良かったんですが、ただ実際に服を売るとなったときに営業のノウハウがなかったのでかなり苦労しましたね。サンプルを車に積んで全国各地ショップを回って飛び込み営業をしていたんですが、あれは大変でした。

森下:お二人に比べたら、僕は恵まれていたのかもしれません。BFGUを卒業してすぐ文化学園が運営するインキュベーション施設にアトリエを構えたのですが、そこでは「コレクティブショウルーム(Collective Showroom)」といった合同展示会が開かれていたり、バイヤーやメディアの方が行き来する空間として成立していました。若手ブランド同士でバイヤーさんを紹介しあったりして、多くの人に服を見てもらえる環境でしたね。

中井:僕は飛び込み営業はしませんでしたが、「Ambiance」などの合同展に参加してより多くの人にみていただける機会を作るようにはしていましたね。

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−「エルザ・ウィンクラー」は昨年の「NHK紅白歌合戦」の有村架純さんなど、衣装協力の依頼が増えています

中井:紅白の衣装はスタイリストから直接オファーがあったものですが、「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」事務局と協力関係にある「デペッシュ・モード」にPRをお願いしたことで実際に衣装協力のオファーは増えました。今年の春に「女の勲章」というドラマがフジテレビで放送されるんですが、主演の松嶋菜々子さんに着て頂く衣装を20数点をオリジナルで制作しました。支援によって頂いた話ではないですが、事務局の方がドラマのプロデューサーと親交があり、それで実現したんです。

森下:コレクションを作りながら、衣装もって大変じゃないですか?

中井:確かに大変ですけど、「エルザ・ウィンクラー」はプレもやってないですし、型数も多いわけじゃないので。あとデザインからパターン、縫製まで全部アトリエでできるというのが大きいですね。そういった環境がないと両立するのは大変だと思います。

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