宇野亞喜良が40歳差の二人展「エネルギーに負けないように描かないと」

宇野亞喜良×石黒亜矢子 展《変奏曲》 Photo by: FASHIONSNAP

 国内最大級のアート見本市「アートフェア東京2017」が、東京国際フォーラムでスタートした。古美術や工芸から、日本画、近代美術、現代アートまで幅広いジャンルのアート作品が一堂に会するイベントには、83歳でもなお第一線で活躍するグラフィックデザインの巨匠、宇野亞喜良による作品も並んでいる。繊細なタッチで描く女性像が多くの人を魅了し続けている宇野に、「文字」をテーマにしたという新作について聞いた。

■新作のテーマは「文字」

左上=「肢体」、中央上=「花」、右上=「聞」


 アートフェア東京では、以前から親交があったという人気作家 石黒亜矢子との二人展「宇野亞喜良×石黒亜矢子 展《変奏曲》」として作品を展示。二人展という形式でのコラボレーションについて事前に企画を詰めすぎず、企画から作品の完成に至るまで、両者が共有していたのは「妄想世界」というテーマとキャンバスのサイズのみだったという。

宇野亞喜良 「姉妹」 キャンバス/鉛筆・アクリル 8S


 今回のアートフェアのために、宇野は「文字」をテーマにした作品を制作。モンタージュ理論を確立したロシアのセルゲイ・エイゼンシュテイン監督が、著書の中で日本の漢字は視覚的に解釈できるという点について触れていたことがきっかけとなった。一番最初に制作した「文字」をテーマにした作品は、門の前で耳を澄ます女の子が描かれたイラストで、タイトルは「聞」。このほかにも、「花に化ける前はただの草でした」というコメントが添えられた「花」や、月を全身で支える女性が描かれた「肢体」、姉が市場に売られ、妹の将来は未だ定まっていない様子を描いた「姉妹」など、じっくり見るほどに新しい発見があるような作品が並ぶ。また「姉妹」では、中国の書道家 王羲之による文字や国貞による遊郭の女性の絵が取り入れられるなど「いくつかの意味合い、次元の違うものを一つの画面にもってきた」(宇野)という。

左=ジャンヌダルクを描いた作品


 ひときわ大きなキャンバスには、フランスの英雄 ジャンヌダルクが描かれた。映画「聖女ジャンヌ・ダルク」で主演を務めたジーン・セバーグのスケッチやミラ・ジョボビッチが主演した映画「ジャンヌ・ダルク」の写真がコラージュされるなど、ジャンヌダルクの人物像が様々なフィルターを通して描き出されている。宇野を魅了するジャンヌダルクの魅力について聞くと「少女なんだけど男装をするような、中間にいるセックスっていいなと」という答えが返ってきた。

■石黒亜矢子の作品を見て

石黒亜矢子の作品。右下の作品にはユニコーンが描かれている。

 二人展として共に出展した石黒亜矢子は、空想の生き物を描いた作品が人気の画家。今回のアートフェアでは、「幻獣」をテーマにした作品を制作した。アートフェア初日にあたる16日に初めて石黒の完成作品を見た宇野は「妖怪とかもののけを書くだろうとは思っていた。僕が女の子を書くのを予想して(女の子を)描いたのかなという作品もありますね。ユニコーンなんかは宇野亞喜良的だったり」と話し、"変奏曲"が生み出した作品を前に目を細めた。「石黒亜矢子やヒグチユウコだったり、あの世代の人はしつこいですよ。細かいところまでしっかりやっていて、彼女(石黒)の塗り方はかなり手間がかかる。そのエネルギーに負けないように描かなきゃいけない」と意識したという。

 「宇野亞喜良×石黒亜矢子 展《変奏曲》」は、エキシビション・スペースAPJブース N90で開催中。身近な"文字"を用いて幻想的でドラマティックな世界を見せてくれる宇野の作品は19日まで展示される。19日午後には、宇野と石黒の2人がブースに来場予定だ。

■アートフェア東京2017
会期:2017年3月16日(木)~ 3月19日(日)
会場:東京国際フォーラム・ホールEおよびロビーギャラリー
入場料:前売り券 1DAYパスポート引換券 2,300円(税込)/当日券 1DAYパスポート 2,800円(税込)
公式サイト